技術ブログ
「1層目が剥がれる…」を解決!定着率をアップさせる4つのコツ
ベッドの温度や1層目の速度の設定が上手くいかず、「1層目が剥がれる…」という経験はありませんか? 実際にmarui labでの造形テストでも定着しない問題があり、解決のために試行錯誤してきました。 本記事では、marui filamentを使用してベッドへの定着率をアップさせるコツを紹介します。 ※使用しているベッド材:テクスチャPEIプレート(Bambu Lab) ①1層目の速度を遅くする 最大体積速度を「8〜12mm3/s」に設定し、0.4mmノズルを使用して0.2mmピッチで造形を行った場合の速度は約110mm/sになります。 速度が速いと、方向転換(角を曲がる時など)の際に樹脂が遠心力や慣性で引っ張られ、ベッドからペリッと剥がれやすくなります。 また、溶けたPLAは、いわば「熱いハチミツ」のような状態です。速度が速いとベッドの表面をなぞるだけで、樹脂が表面の微細な凹凸に入り込む前に次の場所へ移動してしまいます。 【速度を遅くすることで得られる効果】 ◯ノズルから出た樹脂がベッドの表面にじわっと広がり、しっかりと食いつく(濡れ性が高まる)時間が稼げます。 ◯ゆっくり動くことで、ノズル自体の熱がベッドの表面を局所的に温め直す「アイロン」のような効果を生みます。これにより、樹脂が急激に冷えて固まるのを防ぎ、柔らかい状態でベッドに馴染ませることができるのです。 ◯急なカーブで振り落とされず糸を置くように丁寧に、正確な位置へ樹脂を配置できます。 【おすすめの設定値】 Bambu Studio:「速度」>「1層目の速度」>「1層目」を20mm/s程度に設定 1層目は造形の「根っこ」を作る重要な作業です。 ゆっくり丁寧に敷き詰めることで、その後の造形スピードを上げてもビクともしない強固な土台を作りましょう。 ②1層目の積層ピッチを薄くする 押し付けずに断面が丸いまま積層していく場合と押し付けて断面が平らになるように積層する場合、どちらがくっつきやすそうでしょうか? 押し付けずに断面が丸いまま積層していくと樹脂が「置かれる」ような状態になり、断面が丸い紐状になります。 断面が丸い紐状だとベッドとの接地面積が小さく定着しづらくなります。...
「1層目が剥がれる…」を解決!定着率をアップさせる4つのコツ
ベッドの温度や1層目の速度の設定が上手くいかず、「1層目が剥がれる…」という経験はありませんか? 実際にmarui labでの造形テストでも定着しない問題があり、解決のために試行錯誤してきました。 本記事では、marui filamentを使用してベッドへの定着率をアップさせるコツを紹介します。 ※使用しているベッド材:テクスチャPEIプレート(Bambu Lab) ①1層目の速度を遅くする 最大体積速度を「8〜12mm3/s」に設定し、0.4mmノズルを使用して0.2mmピッチで造形を行った場合の速度は約110mm/sになります。 速度が速いと、方向転換(角を曲がる時など)の際に樹脂が遠心力や慣性で引っ張られ、ベッドからペリッと剥がれやすくなります。 また、溶けたPLAは、いわば「熱いハチミツ」のような状態です。速度が速いとベッドの表面をなぞるだけで、樹脂が表面の微細な凹凸に入り込む前に次の場所へ移動してしまいます。 【速度を遅くすることで得られる効果】 ◯ノズルから出た樹脂がベッドの表面にじわっと広がり、しっかりと食いつく(濡れ性が高まる)時間が稼げます。 ◯ゆっくり動くことで、ノズル自体の熱がベッドの表面を局所的に温め直す「アイロン」のような効果を生みます。これにより、樹脂が急激に冷えて固まるのを防ぎ、柔らかい状態でベッドに馴染ませることができるのです。 ◯急なカーブで振り落とされず糸を置くように丁寧に、正確な位置へ樹脂を配置できます。 【おすすめの設定値】 Bambu Studio:「速度」>「1層目の速度」>「1層目」を20mm/s程度に設定 1層目は造形の「根っこ」を作る重要な作業です。 ゆっくり丁寧に敷き詰めることで、その後の造形スピードを上げてもビクともしない強固な土台を作りましょう。 ②1層目の積層ピッチを薄くする 押し付けずに断面が丸いまま積層していく場合と押し付けて断面が平らになるように積層する場合、どちらがくっつきやすそうでしょうか? 押し付けずに断面が丸いまま積層していくと樹脂が「置かれる」ような状態になり、断面が丸い紐状になります。 断面が丸い紐状だとベッドとの接地面積が小さく定着しづらくなります。...
思い出の木を、新しいカタチに。伐採される木々の活用法
お家の建て替えや、街の再開発。新しい暮らしが始まる一方で、これまでそこにあった風景、例えば、庭のシンボルツリーや、通学路の桜並木が、姿を消すことがあります。 「あの木、どうなるんだろう?」 そう思われたことはありませんか? 実は、伐採された木の多くは、コストをかけて処分されてしまうのが現実です。しかし私たちは、その一本一本が持つ物語や思い出を、新しいカタチで未来へ繋ぐお手伝いをしています。 「捨てられる木」から「新しい宝物」へ 私たちは、伐採される木を「貴重な資源」として捉え直します。どうやって? それが「アップサイクル」という考え方です。 まず、伐採される木を専門家たちと一緒にていねいに見極めます。太くて立派な木は、熟練の職人さんの手によって、美しいテーブルや椅子といった家具に生まれ変わります。その土地で育った木が、新しいお家の家具になるなんて、素敵だと思いませんか? 3Dプリント技術で、可能性はもっと広がる 「でも、細い木や曲がった木は、家具にはできないんじゃ…?」 その通りです。でも、諦める必要はありません。そこで活躍するのが、3Dプリントという新しい技術です。 どんな木でも、一度こまかい「木粉」の状態にして、私たちのオリジナル素材「marui pellet」や「marui filament」に加工します。これを大型の3Dプリンターにかければ、ベンチやおしゃれな看板、さらには思い出の品まで、自由な形に生まれ変わらせることができるのです。 記憶を未来へ繋ぐお手伝い 井上企画とこふじ商店は、木のぬくもりを大切にしながら、新しい技術も取り入れて、木材の可能性を広げています。伐採される木は、終わりではありません。新しい物語のはじまりです。 「この木で何かできないかな?」 そんな想いをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。 【事業者様・技術的な詳細情報はこちら】 この記事でご紹介した取り組みについて、より詳しい技術解説や事業者様向けのソリューションは、井上企画のウェブサイトで公開しています。 [記事全文を読む:伐採した木を活用するには?製材から3Dプリントまで、4つのアップサイクル手法を解説](https://www.inouetimber.co.jp/blog/%e4%bc%90%e6%8e%a1%e3%81%97%e3%81%9f%e6%9c%a8%e3%82%92%e6%b4%bb%e7%94%a8%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%ab%e3%81%af%ef%bc%9f%e8%a3%bd%e6%9d%90%e3%81%8b%e3%82%893d%e3%83%97%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%88%e3%81%be/ )
思い出の木を、新しいカタチに。伐採される木々の活用法
お家の建て替えや、街の再開発。新しい暮らしが始まる一方で、これまでそこにあった風景、例えば、庭のシンボルツリーや、通学路の桜並木が、姿を消すことがあります。 「あの木、どうなるんだろう?」 そう思われたことはありませんか? 実は、伐採された木の多くは、コストをかけて処分されてしまうのが現実です。しかし私たちは、その一本一本が持つ物語や思い出を、新しいカタチで未来へ繋ぐお手伝いをしています。 「捨てられる木」から「新しい宝物」へ 私たちは、伐採される木を「貴重な資源」として捉え直します。どうやって? それが「アップサイクル」という考え方です。 まず、伐採される木を専門家たちと一緒にていねいに見極めます。太くて立派な木は、熟練の職人さんの手によって、美しいテーブルや椅子といった家具に生まれ変わります。その土地で育った木が、新しいお家の家具になるなんて、素敵だと思いませんか? 3Dプリント技術で、可能性はもっと広がる 「でも、細い木や曲がった木は、家具にはできないんじゃ…?」 その通りです。でも、諦める必要はありません。そこで活躍するのが、3Dプリントという新しい技術です。 どんな木でも、一度こまかい「木粉」の状態にして、私たちのオリジナル素材「marui pellet」や「marui filament」に加工します。これを大型の3Dプリンターにかければ、ベンチやおしゃれな看板、さらには思い出の品まで、自由な形に生まれ変わらせることができるのです。 記憶を未来へ繋ぐお手伝い 井上企画とこふじ商店は、木のぬくもりを大切にしながら、新しい技術も取り入れて、木材の可能性を広げています。伐採される木は、終わりではありません。新しい物語のはじまりです。 「この木で何かできないかな?」 そんな想いをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。 【事業者様・技術的な詳細情報はこちら】 この記事でご紹介した取り組みについて、より詳しい技術解説や事業者様向けのソリューションは、井上企画のウェブサイトで公開しています。 [記事全文を読む:伐採した木を活用するには?製材から3Dプリントまで、4つのアップサイクル手法を解説](https://www.inouetimber.co.jp/blog/%e4%bc%90%e6%8e%a1%e3%81%97%e3%81%9f%e6%9c%a8%e3%82%92%e6%b4%bb%e7%94%a8%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%ab%e3%81%af%ef%bc%9f%e8%a3%bd%e6%9d%90%e3%81%8b%e3%82%893d%e3%83%97%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%88%e3%81%be/ )
失敗しない!marui filament(木質フィラメント)初期設定完全ガイド|木のぬくもりを...
【はじめに】あなたのアイデアに、木のぬくもりを。 3Dプリンティングは、頭の中の創造的なアイデアを、手で触れられる「かたち」にする魔法の技術です。そして、もしその作品に「木」ならではの温かみや質感を加えられたら、創作の可能性はさらに大きく広がるはずです。 こふじ商店の marui filament は、そんな想いを叶えるために生まれました。リサイクル素材と本物の木粉を原料とした、環境にも優しいウッドフィラメントです。自社ラボでの徹底した造形テストにより、初めてウッドフィラメントを使う方でも扱いやすい安定性を実現しました。 この記事では、marui filamentの魅力を最大限に引き出し、誰もが失敗なく美しい作品を生み出すための「初期設定のすべて」を、3つのステップで丁寧に解説します。 【STEP 1】marui filamentを知る:素材の特長と注意点 まずは、素材の個性と「仲良く」なるための基本情報です。marui filamentは、一般的なPLAフィラメントとは少し違う、木材ならではの性質を持っています。 項目 詳細 主原料 リサイクルPLA樹脂 + 広葉樹の木粉 リサイクル率 約95%。環境に配慮したものづくりが可能です。 色味 着色剤フリー。ホワイトオーク、チェリー、ウォールナットといった木そのものの自然な色合いと、造形後の経年変化を楽しめます。 最大の注意点 吸湿しやすい。本物の木と同様、空気中の湿気を吸いやすい性質があります。これがトラブルの主な原因になります。 フィラメントドライヤーの使用や開封後は早めに使い切るなどがおすすめです。 推奨ノズル径 0.4mm以上。木粉が含まれるため、細すぎるノズルは詰まりのリスクがあります。 0.4mmノズルでは安定した造形をテストにて確認しています。 【ポイント】marui...
失敗しない!marui filament(木質フィラメント)初期設定完全ガイド|木のぬくもりを...
【はじめに】あなたのアイデアに、木のぬくもりを。 3Dプリンティングは、頭の中の創造的なアイデアを、手で触れられる「かたち」にする魔法の技術です。そして、もしその作品に「木」ならではの温かみや質感を加えられたら、創作の可能性はさらに大きく広がるはずです。 こふじ商店の marui filament は、そんな想いを叶えるために生まれました。リサイクル素材と本物の木粉を原料とした、環境にも優しいウッドフィラメントです。自社ラボでの徹底した造形テストにより、初めてウッドフィラメントを使う方でも扱いやすい安定性を実現しました。 この記事では、marui filamentの魅力を最大限に引き出し、誰もが失敗なく美しい作品を生み出すための「初期設定のすべて」を、3つのステップで丁寧に解説します。 【STEP 1】marui filamentを知る:素材の特長と注意点 まずは、素材の個性と「仲良く」なるための基本情報です。marui filamentは、一般的なPLAフィラメントとは少し違う、木材ならではの性質を持っています。 項目 詳細 主原料 リサイクルPLA樹脂 + 広葉樹の木粉 リサイクル率 約95%。環境に配慮したものづくりが可能です。 色味 着色剤フリー。ホワイトオーク、チェリー、ウォールナットといった木そのものの自然な色合いと、造形後の経年変化を楽しめます。 最大の注意点 吸湿しやすい。本物の木と同様、空気中の湿気を吸いやすい性質があります。これがトラブルの主な原因になります。 フィラメントドライヤーの使用や開封後は早めに使い切るなどがおすすめです。 推奨ノズル径 0.4mm以上。木粉が含まれるため、細すぎるノズルは詰まりのリスクがあります。 0.4mmノズルでは安定した造形をテストにて確認しています。 【ポイント】marui...
ただの木材ではない。木粉から作る『サステナブル3Dプリント家具』という選択肢
はじめに:その家具は、どこから来たのだろう? 私たちの暮らしは、いつも「木」と共にありました。朝、目を覚ますベッドフレーム、食事を囲むダイニングテーブル、仕事に集中するためのデスク。当たり前のようにそこにある家具たちが、どのような物語を経て、自分の元にやってきたのか。考えたことはありますか? 一本の木が伐採され、製材され、職人の手によって加工される。それは、何百年も続いてきた、尊いものづくりの歴史です。しかし、その裏側では、多くの木材が端材となり、活用されることなく廃棄されている現実もあります。 もし、その「捨てるしかなかった木」に、新たな命を吹き込むことができるとしたら。 この記事でお伝えするのは、単なる新しい家具の話ではありません。「ただの木材ではない」新しい選択肢。木粉とテクノロジーを融合させ、サステナブルな未来を形にする「3Dプリント家具」という、これからの時代の可能性です。家具作りの未来と、あなたの暮らしの新たな物語が、ここから始まります。 第1章:なぜ今、家具を「木粉」から作るのか? — 時代が求めるサステナビリティ 「使えない」を「使える」に。 このシンプルなコンセプトから、私たち井上企画の素材開発事業は始まりました。家具の製造過程で生まれる木屑や端材は、その多くが焼却処分されてきました。それは、資源の損失であると同時に、CO2排出の一因でもあります。 木粉アップサイクル、すなわち、木材の廃棄物を回収し、3Dプリント技術で新たな製品に生まれ変わらせる取り組みは、この課題に対する画期的な答えです。この挑戦は、単に環境に優しいだけでなく、私たちの暮らしに3つの新しい価値をもたらします。 価値 詳細 1. 環境価値 森の恵みを未来へ繋ぐ、循環型モデル。 これまで捨てられていた木材を100%活用することで、新たな森林伐採を抑制し、限りある資源を守ります。製造過程でのエネルギー消費やCO2排出量も、従来の大量生産方式に比べて大幅に削減可能。自然の恵みを無駄なく使い切り、次の世代へと繋いでいく。それが、3Dプリントが実現する循環型ものづくりです。 2. デザイン価値 想像力を解き放つ、有機的なフォルム。 木材を削り出して作る従来の工法には、どうしても形状の制約が伴いました。しかし、3Dプリンターは、コンピューター上のデータを元に、素材を「積み重ねて」形を作ります。これにより、木工では不可能だった複雑な曲線や、内側が空洞になった有機的なフォルムも自由自在。デザイナーの想像力を解き放ち、これまでにない新しい表現を生み出します。 3. 経済価値 金型不要がもたらす、コスト構造の革命。 従来の家具製造、特に樹脂や金属を使った成形品では、最初に「金型」を作る必要があり、その初期投資は数百万円にも上ることがあります。特に家具のような大きな部材になると、金型代はさらに高騰し、製造場所も限られます。3Dプリントは金型を一切必要としません。データさえあれば、たった一つからでも、あるいは必要な数だけでも、低コストで生産できる「オンデマンド製造」を可能にし、ものづくりのコスト構造そのものを変革します。 第2章:木粉が家具に生まれ変わるまで — 3Dプリントの舞台裏を全公開 では、実際に「木粉」はどのようにして美しい家具へと生まれ変わるのでしょうか。そのプロセスは、自然の恵みと最先端のテクノロジーが融合した、新しいものづくりの舞台裏です。 Step...
ただの木材ではない。木粉から作る『サステナブル3Dプリント家具』という選択肢
はじめに:その家具は、どこから来たのだろう? 私たちの暮らしは、いつも「木」と共にありました。朝、目を覚ますベッドフレーム、食事を囲むダイニングテーブル、仕事に集中するためのデスク。当たり前のようにそこにある家具たちが、どのような物語を経て、自分の元にやってきたのか。考えたことはありますか? 一本の木が伐採され、製材され、職人の手によって加工される。それは、何百年も続いてきた、尊いものづくりの歴史です。しかし、その裏側では、多くの木材が端材となり、活用されることなく廃棄されている現実もあります。 もし、その「捨てるしかなかった木」に、新たな命を吹き込むことができるとしたら。 この記事でお伝えするのは、単なる新しい家具の話ではありません。「ただの木材ではない」新しい選択肢。木粉とテクノロジーを融合させ、サステナブルな未来を形にする「3Dプリント家具」という、これからの時代の可能性です。家具作りの未来と、あなたの暮らしの新たな物語が、ここから始まります。 第1章:なぜ今、家具を「木粉」から作るのか? — 時代が求めるサステナビリティ 「使えない」を「使える」に。 このシンプルなコンセプトから、私たち井上企画の素材開発事業は始まりました。家具の製造過程で生まれる木屑や端材は、その多くが焼却処分されてきました。それは、資源の損失であると同時に、CO2排出の一因でもあります。 木粉アップサイクル、すなわち、木材の廃棄物を回収し、3Dプリント技術で新たな製品に生まれ変わらせる取り組みは、この課題に対する画期的な答えです。この挑戦は、単に環境に優しいだけでなく、私たちの暮らしに3つの新しい価値をもたらします。 価値 詳細 1. 環境価値 森の恵みを未来へ繋ぐ、循環型モデル。 これまで捨てられていた木材を100%活用することで、新たな森林伐採を抑制し、限りある資源を守ります。製造過程でのエネルギー消費やCO2排出量も、従来の大量生産方式に比べて大幅に削減可能。自然の恵みを無駄なく使い切り、次の世代へと繋いでいく。それが、3Dプリントが実現する循環型ものづくりです。 2. デザイン価値 想像力を解き放つ、有機的なフォルム。 木材を削り出して作る従来の工法には、どうしても形状の制約が伴いました。しかし、3Dプリンターは、コンピューター上のデータを元に、素材を「積み重ねて」形を作ります。これにより、木工では不可能だった複雑な曲線や、内側が空洞になった有機的なフォルムも自由自在。デザイナーの想像力を解き放ち、これまでにない新しい表現を生み出します。 3. 経済価値 金型不要がもたらす、コスト構造の革命。 従来の家具製造、特に樹脂や金属を使った成形品では、最初に「金型」を作る必要があり、その初期投資は数百万円にも上ることがあります。特に家具のような大きな部材になると、金型代はさらに高騰し、製造場所も限られます。3Dプリントは金型を一切必要としません。データさえあれば、たった一つからでも、あるいは必要な数だけでも、低コストで生産できる「オンデマンド製造」を可能にし、ものづくりのコスト構造そのものを変革します。 第2章:木粉が家具に生まれ変わるまで — 3Dプリントの舞台裏を全公開 では、実際に「木粉」はどのようにして美しい家具へと生まれ変わるのでしょうか。そのプロセスは、自然の恵みと最先端のテクノロジーが融合した、新しいものづくりの舞台裏です。 Step...
【コスト削減とSDGsを両立】3Dプリントによる廃材リサイクル・アップサイクルという選択肢
「廃棄物の処理費用は年々増加している。一方で、社会からはSDGsへの貢献も強く求められる…」 多くの企業や自治体の担当者が、この「コスト」と「環境」のジレンマに頭を悩ませているのではないでしょうか。環境対策はコストがかかる、というこれまでの常識を覆し、その両方を同時に解決する新しい選択肢が「3Dプリントによるアップサイクル」です。 この記事では、捨てるしかなかったはずの廃材を、新たな価値を持つ製品に生まれ変わらせる技術について、企業と自治体の両方の具体的な事例を交えて解説します。 なぜ、廃材は「コスト」になるのか? これまで、事業活動で発生した木材の端材や廃材の多くは、産業廃棄物として費用をかけて処分されてきました。そのプロセスは、企業や自治体にとって直接的な金銭負担となるだけでなく、環境にも負荷をかけています。 ※イメージ図:端材発生 → 保管 → 収集・運搬 → 中間処理(焼却・埋立) → 最終処分 この各段階で、人件費、運搬費、処理費といった様々なコストが発生します。 また、一部は「リサイクル」されてきましたが、その多くは燃料チップや製紙原料など、元の木材よりも価値の低いものに変える「ダウンサイクル」でした。これでは、持続可能な資源循環とは言えません。 解決策は「アップサイクル」という発想の転換 そこで注目されるのが、単なる再利用ではなく、創造的なアイデアや技術を加えて、より価値の高いものを生み出す「アップサイクル」という考え方です。そして、このアップサイクルを強力に推進する技術が「3Dプリント」です。※イメージ図:数字は、実際の算出された数字ではありません。 リサイクル(ダウンサイクル): 廃材を、より価値の低い原料として再利用する(例:木材→燃料チップ) アップサイクル: 廃材に、デザインやアイデアといった付加価値を与え、より価値の高い製品に変換する(例:木材→デザイン性の高い家具) 3Dプリント技術を使えば、粉砕した廃材を原料とするペレットやフィラメントを作成し、これまで不可能だった自由な形状の製品を、金型不要で一つから製造できます。つまり、「コスト」でしかなかった廃材が、新たな製品を生み出す「資源」に変わるのです。 井上企画が実現する、廃材から製品への完全な循環プロセス この理想的な資源循環は、机上の空論ではありません。私たち井上企画が、素材開発事業部の中核として日々実践しているビジネスそのものです。長年培ってきた木材への深い知見と、最先端の3Dプリント技術を融合させることで、私たちは独自のアップサイクルプロセスを確立しました。 ※イメージ図 1. 家具製造過程の端材 → 2....
【コスト削減とSDGsを両立】3Dプリントによる廃材リサイクル・アップサイクルという選択肢
「廃棄物の処理費用は年々増加している。一方で、社会からはSDGsへの貢献も強く求められる…」 多くの企業や自治体の担当者が、この「コスト」と「環境」のジレンマに頭を悩ませているのではないでしょうか。環境対策はコストがかかる、というこれまでの常識を覆し、その両方を同時に解決する新しい選択肢が「3Dプリントによるアップサイクル」です。 この記事では、捨てるしかなかったはずの廃材を、新たな価値を持つ製品に生まれ変わらせる技術について、企業と自治体の両方の具体的な事例を交えて解説します。 なぜ、廃材は「コスト」になるのか? これまで、事業活動で発生した木材の端材や廃材の多くは、産業廃棄物として費用をかけて処分されてきました。そのプロセスは、企業や自治体にとって直接的な金銭負担となるだけでなく、環境にも負荷をかけています。 ※イメージ図:端材発生 → 保管 → 収集・運搬 → 中間処理(焼却・埋立) → 最終処分 この各段階で、人件費、運搬費、処理費といった様々なコストが発生します。 また、一部は「リサイクル」されてきましたが、その多くは燃料チップや製紙原料など、元の木材よりも価値の低いものに変える「ダウンサイクル」でした。これでは、持続可能な資源循環とは言えません。 解決策は「アップサイクル」という発想の転換 そこで注目されるのが、単なる再利用ではなく、創造的なアイデアや技術を加えて、より価値の高いものを生み出す「アップサイクル」という考え方です。そして、このアップサイクルを強力に推進する技術が「3Dプリント」です。※イメージ図:数字は、実際の算出された数字ではありません。 リサイクル(ダウンサイクル): 廃材を、より価値の低い原料として再利用する(例:木材→燃料チップ) アップサイクル: 廃材に、デザインやアイデアといった付加価値を与え、より価値の高い製品に変換する(例:木材→デザイン性の高い家具) 3Dプリント技術を使えば、粉砕した廃材を原料とするペレットやフィラメントを作成し、これまで不可能だった自由な形状の製品を、金型不要で一つから製造できます。つまり、「コスト」でしかなかった廃材が、新たな製品を生み出す「資源」に変わるのです。 井上企画が実現する、廃材から製品への完全な循環プロセス この理想的な資源循環は、机上の空論ではありません。私たち井上企画が、素材開発事業部の中核として日々実践しているビジネスそのものです。長年培ってきた木材への深い知見と、最先端の3Dプリント技術を融合させることで、私たちは独自のアップサイクルプロセスを確立しました。 ※イメージ図 1. 家具製造過程の端材 → 2....
【技術解説】FGFとは?ペレット式3Dプリント技術の最前線と事業活用の可能性
3Dプリンティング技術は、試作品製造から最終製品の生産まで、その活用範囲を急速に拡大させています。中でも、特に産業用途において注目を集めているのが「FGF(Fused Granule Fabrication)」と呼ばれる次世代の技術です。 従来のフィラメント方式(FFF)の限界を超え、ペレット素材から直接3Dプリントすることにより、コスト、スピード、材料の多様性において大きな可能性を秘めるFGF。本記事では、その基本原理からビジネス活用のメリットまでを、専門家の視点から分かりやすく解説します。 1. FGF:フィラメント不要の3Dプリンティング FGF(Fused Granule Fabrication)とは、日本語で「溶融粒子製造法」と訳され、ペレット状(粒状)の樹脂材料を直接溶かして積層する3Dプリンティング技術です。 多くの人が「3Dプリンター」と聞いて思い浮かべるのは、糸状の材料(フィラメント)を溶かすFFF(Fused Filament Fabrication)方式でしょう。FGFは、この「フィラメント」という工程を完全に省略する点に最大の特徴があります。 フィラメントの工程(木質フィラメントの場合) ①木材粉砕⇒②プラスチックと木粉の混錬(ペレット化)⇒③フィラメント製造 ペレットの工程(木粉ペレットの場合) ①木材粉砕⇒②プラスチックと木粉の混錬(ペレット化) 項目 FFF方式(従来型) FGF方式(次世代型) 使用材料 フィラメント ペレット(粒状樹脂) 材料コスト 比較的高価...
【技術解説】FGFとは?ペレット式3Dプリント技術の最前線と事業活用の可能性
3Dプリンティング技術は、試作品製造から最終製品の生産まで、その活用範囲を急速に拡大させています。中でも、特に産業用途において注目を集めているのが「FGF(Fused Granule Fabrication)」と呼ばれる次世代の技術です。 従来のフィラメント方式(FFF)の限界を超え、ペレット素材から直接3Dプリントすることにより、コスト、スピード、材料の多様性において大きな可能性を秘めるFGF。本記事では、その基本原理からビジネス活用のメリットまでを、専門家の視点から分かりやすく解説します。 1. FGF:フィラメント不要の3Dプリンティング FGF(Fused Granule Fabrication)とは、日本語で「溶融粒子製造法」と訳され、ペレット状(粒状)の樹脂材料を直接溶かして積層する3Dプリンティング技術です。 多くの人が「3Dプリンター」と聞いて思い浮かべるのは、糸状の材料(フィラメント)を溶かすFFF(Fused Filament Fabrication)方式でしょう。FGFは、この「フィラメント」という工程を完全に省略する点に最大の特徴があります。 フィラメントの工程(木質フィラメントの場合) ①木材粉砕⇒②プラスチックと木粉の混錬(ペレット化)⇒③フィラメント製造 ペレットの工程(木粉ペレットの場合) ①木材粉砕⇒②プラスチックと木粉の混錬(ペレット化) 項目 FFF方式(従来型) FGF方式(次世代型) 使用材料 フィラメント ペレット(粒状樹脂) 材料コスト 比較的高価...